投資信託と債券は、どちらも資産運用の選択肢として一般的です。しかし、「債券は償還まで保有すれば元本が戻る」という話を耳にしたことがある人も多いでしょう。この特徴をもって「元本割れのリスクがない」と勘違いするケースも少なくありません。実際はどうなのか?この記事では、投資信託を通じた債券購入のメリット・デメリット、リスク、そして元本割れの可能性について深掘りしていきます。
債券とは?その基本的な仕組み
債券とは、簡単に言えば「企業や政府が資金を借りるために発行する借用証書」のようなものです。購入者は債券を買うことで、発行体にお金を貸し、その代わりに利息を受け取ることができます。そして満期を迎えた際には、通常、額面金額(購入時の元本)が返ってきます。
では、なぜ元本割れリスクがあるのか?
債券は確かに償還まで保有すれば額面金額が返還される仕組みですが、途中で売却する場合、購入時よりも価格が下がる可能性があります。この価格変動リスクが元本割れの原因となります。
- 価格変動リスク: 金利が上昇すると債券価格が下がり、逆に金利が下がると価格が上がる傾向があります。市場での金利変動が債券価格に直接影響を与えるのです。
- 信用リスク: 債券の発行体が倒産や財務状況の悪化を起こした場合、額面金額や利息が支払われないリスクがあります。
下記に価格変動の仕組みを簡単にまとめた表を用意しました:
状況 | 金利の変化 | 債券価格の動き |
---|---|---|
市場金利が上昇 | 上昇 | 下落 |
市場金利が下落 | 下落 | 上昇 |
発行体の信用力が低下 | 信用リスク上昇 | 下落 |
投資信託で債券を購入するメリットは何?
投資信託を通じて債券を購入することにはいくつかの利点があります。
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分散投資が可能
債券ファンドでは複数の債券に投資するため、個別債券のリスクを分散できます。たとえば、1社がデフォルトしても、他の債券で損失をカバーできます。 -
少額から投資可能
個別債券は通常、ある程度まとまった金額が必要ですが、投資信託なら少額から始められます。 -
流動性の確保
個別債券は途中で売却するのが難しい場合がありますが、投資信託は市場で売買できるため、比較的流動性が高いです。
投資信託による債券投資のデメリット
もちろん、投資信託を通じた債券投資にも注意点があります。
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手数料がかかる
投資信託には購入時手数料や信託報酬が発生します。これらのコストがリターンを圧迫する可能性があります。 -
元本保証はない
投資信託は元本保証がないため、ファンド運用の結果次第では元本割れが起こる可能性があります。 -
市場リスクが直撃
債券ファンドは市場の金利変動や信用リスクにさらされるため、個別債券と同様に価格が変動します。
元本割れを防ぐためには?
債券投資や債券ファンドで元本割れを防ぐために、以下のポイントを意識することが重要です。
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長期保有を前提とする
債券は償還まで保有することで額面金額が返還される可能性が高いため、長期的な視点で投資することが基本です。 -
信用力の高い債券を選ぶ
信用リスクが低い国債や高格付けの企業債を選ぶことで、リスクを軽減できます。 -
分散投資を徹底する
投資信託やETFを活用して、複数の債券に分散投資する戦略を取りましょう。
投資信託の債券ファンドを選ぶ際の注意点
債券ファンドを選ぶ際には、以下の要素を慎重に比較検討しましょう。
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信託報酬の高さ
手数料が高いファンドは、長期的に見るとパフォーマンスに大きな影響を与える可能性があります。低コストのファンドを選ぶのが基本です。 -
投資対象
債券ファンドの中には、新興国の債券やハイイールド債(高利回り債)を主に運用するものがあります。これらは高い収益を狙える反面、リスクも高いので注意が必要です。 -
運用実績
過去の運用実績を確認し、安定的なリターンを提供しているファンドを選ぶことを心がけましょう。
よくある質問
債券は必ず償還時に元本が返ってくるのですか?
いいえ、必ずしもそうとは限りません。償還時に発行体がデフォルトした場合や、途中で売却する場合には元本割れが発生する可能性があります。
債券ファンドは初心者に向いていますか?
リスクを抑えた分散投資が可能な点で債券ファンドは初心者に適していますが、手数料や元本割れリスクがあることを理解しておく必要があります。
国債と企業債ではどちらが安全ですか?
一般的には国債の方が信用リスクが低く、安全性が高いとされています。ただし、利回りは企業債の方が高い傾向があります。
債券ファンドと個別債券ではどちらが良いですか?
目的や投資経験によります。分散投資を重視するなら債券ファンド、特定の債券をじっくり保有したい場合は個別債券がおすすめです。
債券価格が下がったらどうすれば良いですか?
長期的な視点で保有を続けることが基本です。市場金利が下がれば価格が上昇する可能性もあります。
投資信託とETFのどちらを選ぶべきですか?
流動性やコストを重視するならETF、運用の柔軟性を求めるなら投資信託が適しています。
結論
投資信託を通じた債券投資は、分散投資や少額からの投資が可能な点で魅力的です。ただし、元本保証がないことや手数料がかかることを理解し、適切なリスク管理を行う必要があります。債券そのものに元本割れリスクが存在する点も忘れず、慎重な判断を心がけましょう。